ますだいっこうのあと@ベルリン

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『Der geteilte Himmel』[ベルリン2015]

〈軽く抜け殻感、まあ抜け殻な本性はずっとだけれども〉〈ヴァイツゼッカー元大統領の国葬には日本から誰が参列するのかしら?〉〈出前一丁、煮すぎちゃった〉。DVDで『Der geteilte Himmel』1963年発表された同名小説・邦訳題『引き裂かれた空』を翌年映画化したモノクロ作品で、ベルリンの壁ができる頃のドイツ、おもに東ドイツの戦後昭和な味わいをもった恋愛モノ。
Der geteilte Himmel』@シャウビューネ。“小説をモチーフに”とあるのでストーリーを背景として翻案された、演出的アイデアも多く盛り込まれた舞台。細長いランウェイ状舞台を挟んで二分された客席、その両側最前列に紛れ込んだ俳優男女が過去を振り返る視点での対話から始まる、三人目の医者役俳優を先頭にランウェイに砂利道よろしく運び込んで敷き詰められるクリスタルのようなガラスのような礫、その上を裸足で歩く痛み、四方囲む白い壁に投映される映像、俳優のアップだったりイメージコラージュ映像だったり宇宙空間を飛ぶロケットは映画にも出てくガガーリンの逸話がらみでしょう、オフステージのベッドルームセットで演じられる芝居はビデオ中継される、労働がモチーフらしい景では手持ちのボーリングマシンで実際に舞台に穴をあける、その粉塵と騒音に客席最前列女性が思わず苦情を言う場面も、過去の振り返りにオープンリールデッキをわざわざ持って来たり、でも音声はきっと舞台上のテープから流れるんじゃない印象、あえて足音を立てたり囲まれた会場通路ドアを荒々しく開け閉めしたりでぐるぐる歩く、などなど。原作の粗筋はおさえて臨んだけれど、わりと解体されてたからかそれをつなぐキーワードを掴みきれなかったからか、シーンシーンのやや突飛な演出が積み上がっていかない感覚がやや募った。主役リタを演じる女優が風邪気味らしく咳き込んだりしていた本調子じゃなかったのも影響してるかもしれない。余談1:繰り返し流れる不安げな音楽がクロノス・カルテットレクイエム・フォー・ドリーム』の出だしのようで極ごく個人的にまったく別文脈でハラハラした。余談2:一般的に最前列中央にプロンプターが台本をもって座ってることが多くて、その後ろ近くだと覗き込むのも密やかな楽しみ、これまで女性プロンプターしか目撃したことなかったけど今夜は初めて男性で知的なメガネくん、指で台詞の行を追ってる様子にちょっと萌えました、あとスキンヘッドだもんだから、客席含めドン明るくなるシーンなどには、ニットキャップでカモフラしてたのが微笑ましかった。余談3:男優は『Daemonen』以来チェックしてるTilman Straussで、何というかいろんな要素が絶妙に盛り合わせになってる雰囲気に萌え始めてるんですがw、中盤タンクトップになって腕を上げる脇の下がですね至近距離客席から見上(以下自粛w)。
思いがけずアフタートークがあって、進行役はポリレアリステン演出のヴィプケ。ドラマトゥクと、フツーに帰り支度してビールなど飲みながら登場した主演二人と、残った観客がざっくばらんに話すのを、女優の微量はすっぱ感にニンマリしつつ、Tilmanクンの弁舌立つ様にまた萌えつつ、ぼんくら眺めてた。