ますだいっこうのあと@ベルリン

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悪魔のしるし旅1日目:ベルリン→ベルガモ→ベリンツォーナ、悪魔のしるし『わが父、ジャコメッティ』[ベルリン2014]

08:50ベルリン・シェーエネフェルト→10:30ミラノ・ベルガモライアンエアFR4732。〈地下鉄とバスで無事シェーネフェルト空港着。お初飛行場でヤル気ない雰囲気に笑っちゃった。伊ベルガモへのフライトは今のところオンタイム〉。Sバーンもストでほとんど動いてない状態なので特にU5のラッシュがなかなかだった。にしてもホント新空港ができる前提でずっと以前から何も手を加えてない感ひしひしの裏寂れた空港だなー。んで偶然搭乗口で2012年の奨学金ゲーテ講座で同級生だった、イタリア出身のイザベラとバッタリ!わお!ピンクのモフモフコートが超カワイー!。徒歩乗機、隣席はイタリア語話す老夫婦、客室乗務員ふくよか女性のスレた顔つきにいちいちアガる、定時着陸のファンファーレも流れた。ターミナル連絡バスでイザベラと合流し以後喋りっぱなし、お互い預け荷物もないのでさっさとターミナル抜け、バス乗り場でイタリア語ミニ講座をしてもらって、僕はベルガモ行きに、彼女はミラノ行きに乗る、チャオチャオ!ローカルな街並を走る空港連絡バスでもう?ってくらいすぐ駅に着いた、というかアナウンスもなくて、電光表示は前のほうに小さくしかなくて、空港からずっとドイツ語を話していた男性3人連れに尋ねて一緒に降りる始末。まずスイス・ベリンツォーナまでの切符を買って、小雨のなか街歩き出発。
ベルガモ
旧市街へのケーブルカー乗り場
ベルガモ旧市街(以下同)




駅から真っ直ぐに延びる道をいくと見えてくる丘の上の旧市街。ちんたら可愛いケーブルで昇る。地図があってもイタリア語表示に慣れず、あてずっぽうに迷路状の石畳街路を徘徊するのは初めての体感だった。広場的なところへもまぐれで行き着きああなるほどそうですかハイ納得しましたで下りケーブル。

キオスク
駅へぶらくり別の通り沿いにぶらくり歩き、ちょい曲がるとこれが繁華街なのね界隈を少しウロウロ、せっかくだから何か食べたい欲ありぃの口内炎ですっかり臆病でありぃので駅中テケトーカフェにてピザトースト的を小口で何とか平らげ、すでに到着していた列車へ早々乗り込む。
電気機関車
15:23ベルガモ→16:11モンツァ16:22→17:57ベリンツォーナ。いわゆる普通列車での移動、いちいち車窓に興奮できるのが乗り鉄の醍醐味よね。イタリアの客車はややくたびれていたけど乗り換えたスイス車両はモダンで居心地いい、低床設計みたいで両端の車輪がある部分が滑らかに高くなってる。途中から団体客がわんさかで賑やかになった。観光地ムードな終点駅で下車。すでに真っ暗で少々疑心暗鬼に歩き出すも無事中心部から徒歩圏にあるAirbnb宿着。ちょいシャイな子供もいるジェシカの部屋はすごくキレイでしかも彼女がドイツ語もしゃべれたのでコミュケーションがかなり楽チンだった。〈スイス・ベッリンツォーナの宿に到着!街探索&用足しに出かけそのまま劇場へ向かいます!〉
リンツォーナ・閉店間際ミグロス
〈悪魔のしるしベリンツォーナ公演、そっちが家族旅行ならwこっちは再会旅行?な状態でしたー。芝居はギリギリがギリギリつながりしてジワジワ涌き上がる感触が素晴らしかった。バラシはおしゃべり担当で飲みまでお邪魔。危口さん木口さんはじめいろんな人たちとお話しもできて、深謝合掌な旅ですわん〉、そう開演前劇場へとまず赴くと、外置き灰皿でヤニ中の演出危口さん制作滝尾さんらと早速再会できて、その地続き加減になんだかほっくりしたのでした。
悪魔のしるしわが父、ジャコメッティ』@Teatro Sociale Bellinzona。こぢんまりしつつも古典的で煌びやかな雰囲気も漂う劇場での上演。世界的著名美術家とそのモデル=ジャコメッティ矢内原伊作/画家と演出家=木口敬三と危口統之/父と息子=敬三と統之の木口家親子、という3つのレイヤーでのエピソード&シーンが危ういバランスと絶妙な寸止めで交錯する。二人の関係を主軸に、若い女優が、黙認のもと矢内原と浮気もしていたというジャコメッティの妻アネットやら親子の芸術的懊悩と別の朗らかさを見せる立場でときに対照的に現れる。何より作品をいわば前へ転がす役どころの危口さんの男優っぷり、とはいえ朴訥で派手さはなく彼らしい手振りちょっと多めな程度の低温さなのだけど、が、いちファンとしては立合う喜びとして大変ジワジワくるものがあった。舞台は初というお父さん敬三さんの、とぼけたエピソードが繰り返されさらに映像で悪ふざけされるあたりのおかしみは味わい深かった。そうそうくだんの浮気話とミュージカルをも学んでいたというとエピソードを参照する大谷ひかる嬢との歌って踊っての「悪魔のしるし」とは思えんwシーンでの危口さんの天然不器用さもラブリー。実家からの各種物体:オープンテープデッキ・小学生の危口さん作の粘土人形・時計などの実の時間が染み込んだオブジェに、ビデオ投映や映像が巧みに絡み、さらにピアノ連弾でしめるという設え。雑に言えばこれまでの作品と陸続きともいえる自虐ネタというか自分ネタというか自己を問い直すネタを起点とするアプローチの、ひとつの究極点ともいえす作品に視え、観劇旅の甲斐ありでホクホク。
去年2月のTPAM公演でお世話になった舞台監督サメさんこと佐藤恵美さんに「バラシするけどそのままいてお喋りしてていいからね」とお気遣いいただき、敬三さんとしばし話し込んだり、小道具梱包をほんのちょっとお手伝いしたり、ムキッとノースリーブの劇場付きスタッフさん日本語勉強中と少々交流したり、でそのまま近場のカフェ的なところにまでご一緒し危口さんとも久々じっくり話ができてありがたやー。夜更けのヨーロッパな広場的なところでお別れ。