ますだいっこうのあと@ベルリン

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エキストラ衣装合わせ/AufBruch『Zeit Vergeht. Warten』[ベルリン2015]

来週のテレビドラマ撮影エキストラに向けての衣装合わせにスタジオ・バベルスベルクへ。ベルリン市境越えた最初の駅グリープニッツゼー下車バス停3つ分バサバサ落葉道徒歩。受付場所が撮影中の怪我人エキストラらと一緒で待ちくたびれ顔+特殊メイクで一瞬ギョッとした、そんな中でしばし順番待ち後、医者の定番スタイルであっさり決まり終了。スタジオから、壁のあった時代には特別な回廊道路で西ベルリンとつながってた飛び地シュタインシュトゥッケンSteinstueckenまで歩けば定期エリアなので、そこからバス118に乗って極小旅経由ヴァンゼー駅からSバーン帰宅。
〈電車の中でむずかるワンちゃんにお座り等させては小さなエサをあげてプチ調教してる女性が。犬は黒犬で胸に白斑あり。前足で彼女にじゃれつくわ、握り拳をくわえるわ、通路に腹見せで寝転ぶわ、ブルブルってするわ、向かいの席の豪傑系オバサンのまたぐらでじゃれるわ等々。ガン見してめっちゃ和む〉AufBruch『Zeit Vergeht. Warten --Briefe an meine Katze Bebert』@Justizvollzugsanstalt Ploetzensee、定点観測する刑務所劇団公演。雑訳題は「時は過ぎ去る、待つ」。これまでの古典・名作戯曲を受刑者中心のアンサンブルが噛み砕く作風も基本的に興味深いけど、今回は参加者自らが書いた記憶についてのテキストからのモノローグ中心にコラージュされたもの。順次入場手続きをして来場する観客に、劇中の、おそらくは作品作りの過程で彼らに投げかけられたであろう、質問が、出演者と一対一形式で机に着いてアンケートされる、という開演前演出があった。ちょっと独語講座の課題みたに感じてた僕が当たったのは、非ヨーロッパ系も多いなかで欧米系外見な温和なおじさんで、彼は劇中でもどっしりした演技をしていて好感。演出的にはライブビデオ・背景合成・オーバーヘッドプロジェクター・スライドなどをその場に配置したスタジオ形式ながらも、ざっくり書けば台詞との格闘度合いが低く、かなり生々しかったり比喩としてにおいが強かったりする台詞が連なっていて、何者であるかがくっきりした言葉ばかりが吐かれて、とても感銘。出自や過去の思い出にまつわる物語や、自らの犯罪についてのエピソードも、淡々と盛り上げをむしろ避けるかのような手つきで綴られてたな。で、終演後は、劇中たまに問われてひと言ふた言発するくらいでずっと料理をしていた、それが彼自身の物語なんだろう、男性による中東系メニューが振る舞われて、出演者とも歓談できる時間があって、開演前にアンケートされたおじさんと少しまた喋れた。実際のところでいえば受刑者ゆえな物語性があるのは否めないところだけど、今自分的に興味があるのは、なんでもないかそうでないかは措いて、個人的なお話だよなと反芻する帰路。ちなみに質問は「あなたの窓から見えるものは?」「生まれて最初の記憶は?」「宝箱には何をいれる?」。あと余談、ホールを辞するとき、案内する職員が僕に「帰りますか?(ならば通路はこっちです)」と言ったそばで、たまたま居合わせた出演者が「オレも帰りたい!」と冗談言ってる、ある種ラフな雰囲気も観劇後のよきスパイス。

musik heute:
serc&hayat - geh mir aus dem weg