ますだいっこうのあと@ベルリン

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『Borgen』

日中曇り時々雨でも夕方には雲の切れ間から光がさして茜から青味がかる頃合いには何ともいえない空になるベルリンパターンがこの安息日も。バゲット的齧りながら澄んだ気の中少々遠回り。劇場カフェでたまたまユカさん+αと遭遇でしばし雑談。『Borgen』@シャウビューネ。ニコラス・シュテーマン新作、架空のデンマーク初女性首相を描いたテレビドラマ、日本での放映題が『コペンハーゲン/首相の決断』ってほんわり韻踏んでるのには苦笑したけど、を舞台化した芝居。ただし元々がシーズン3まであるんで上演時間は長丁場半、初日評も芳しくないうえ、このところ劇場票券部がいやがらせの如く配券してるに違いないな見づらい前方席なので〈3.5時間の芝居に体力&理解力がもつ自信まったくなくてブルー、最前列端っこだし座してなんちゃら状態かも〉で、つまり期待値下げ下げで臨んだせいか、おもしろがって観られた。ドイツの劇場で活躍する原サチ子さんの過去ブログにあるように“俳優が素の自分として舞台に出てきて、ト書きや物語の説明から入り、いつのまにか、原作より更にダイナミックなカタルシスにまで到達する、といった感じ”の演出が、案外ツボだったからだろうな。その“いつのまにか”のいちいち、ヅラ髭衣装メガネ等で何役も瞬時にスイッチ、大仰で無駄な装置の闖入、俳優自らのスモークや雪、ブレヒト劇もどき歌、スライド、スマホ中継、スラップスティックだったりセクシーだったり、隙ありで登板するエキストラ群、客席乱入、ピアノ&パーカションの演奏、ミュージシャンによる棒読み台詞、人間プロンプターに代わって最近は客席上部に導入されてるらしいモニター式を舞台上にも、休憩というか幕間的にやっちゃうワンシーン、等等等で、がまずおもしろく観られたことに救われた。テレビドラマの舞台化を謳ってそれは実際そうなのだけど、その筋書きとともに、扱ってる政治テーマ、例えば難民・軍備・人権・財政・メディア+翻って首相個人の家族内問題、を、ドイツとも共通するよね、って目線で誇張気味に展開してもいたのが、理解力がどうにかついていけた面もある。あと映像スタッフなども舞台上にはいるものの、俳優は4人きりで、エネルギッシュというのでもなく淡々というのでもなく、あれやこれや次から次へと演じている、けど数日前に観たサイモン・マクバーニー作のようにあるキッチリした焦点へ作品を集中収束させていくようには演じてるように視えなくて、ああこっちのほうが僕の今の体質には合うんだなぁ、とかね。余談:休憩後1列め左端から3列めの空席に移動したら、すぐ後ろ席に昨夜『Traumboy』で一目惚れなDanielクンが友達と座ってて、後半は彼の反応を背に勝手に同伴観劇気分だったのもプラス効果でしたー。