ますだいっこうのあと@ベルリン

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『Edamame』撮影/『In Unserem Namen』[ベルリン2015]

〈難民テーマのイェリネク戯曲『庇護にゆだねられた者たち Die Schutzbefohlenen』例によってト書き役名皆無なザーザー文wながら群読向けっぽかったり、類似語意味転がしなどもありで辛うじて中身は追えるんでザーザー小声音読中。これベースにした今夜の上演にギリ間に合いそう〉。午後モリアラタさん&ティモ・ベーンケさんが製作中な映像作品『Edamame』に出演。いわば劇中劇なトークショー番組シーンで日本留学経験のあるベン交えまずは映像それから音声を。撮影終えてトモコさんお握り&汁物が何ともありがたかった。
In Unserem Namen』@マキシム・ゴーリキー・テアター。演劇究めるタツヤさんとバッタリで上演前後喋り倒し。ギリシャ劇を参照しつつ難民の叫びを洪水のごとく言葉に綴ったイェリネク戯曲『庇護にゆだねられた者たち Die Schutzbefohlenen』はじめ、議会での討論文書・俳優たちの個人的台詞などから構成された作品。通常の客席がすべて取っ払われた劇場には、舞台前面に大階段が設けられており、どこでもご自由に状態。ハンディカメラでのライブ映像のプロジェクションも壁3方向に。普段着で観客とともにいたキャストたち、多くが外見からも非欧米系背景を持つと思わせる、が独語英語以外の7言語の台詞を口にするところからじょじょに始まっていく。すぐに後追いされる独語、ときに群読だったりする、からはイェリネクのテキストが多く聞き取れた。客の中へ背後へわざわざ足を踏み入れたり勢いつけて走り込み壁をよじのぼったり列になってみたり、と客席空間ほぼ中央をあけて大階段と壁沿いでぐるりと囲んで座る客たちの間を物理的にも、あるいは心理的にもいろいろに近寄ろうとする俳優たちの佇まいというか語りかける距離感というかは好きだった。中盤以降からは劇場メイン俳優たちがマイク+マイクスタンドとともにスーツ姿で連邦議会のつまりは法律的なテキストを口にするシーンで、ざっくりいえば政治的なニュアンスを高めたかったのね、的な。達者ゆえのそれなりな効果はあったろうけど、個人的体温は下がり気味。客をわざわざ中央部分に集める演出などもあったり、まあそれはお約束よねみたいな。んでどこへ着地するんだろなと思ってうちに、前半の俳優たちが再び立ち上がり察するにイェリネクをいくつか吐き、するうちに、なし崩しで、って言うしかないんだけど、俳優各自が劇場空間ほうぼうで同時多発で個人的レベルの話をし始め、観客は好きに移動してそれを見聞き、直接話しかけたりも、するという雲散霧消流れ解散な展開。座り込んだおばちゃん女優Vernesa Berboが世間話な態で外国人局での滞在許可申請が少しでも有利に働くようドイツ語の歌を覚えて行ったとかクリスマスなのにイースターラビットのチョコレートを持って行ったか、など例えば←そのエピソードが彼女自身の実体験かはさておきでね。いつのまにか水やオレンジジュースなどのドリンクが配られ、軽く踊れちゃいそうな音楽もかかるパーティームードになりつつも、客も俳優も三々五々劇場を去っていった。雑な言い方だけど、人と人との間で何をどう語るか、的なことが内容よりも手前の位置どりで、僕にとっては意識されて、いい意味でチリチリと燻る上演で観られてよかった。九州男児タツヤくんとご同伴ってのもねw。ところで題名が「in unseres Namen」なら「わたしたちを代表・代理して」とかの納得な意味が辞書に載ってんだけど「unserem」なのよね。