ますだいっこうのあと@ベルリン

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トニー・リッツィ『エヴリ・ボディ・テルズ・ア・ストーリー』/椿昇『ゴールド/ホワイト/ブラックーコンプレックス』

ikkomasuda2010-03-14

明日からの旅を決意して、って毎度大袈裟やね、下調べなど。
トニー・リッツィ『エヴリ・ボディ・テルズ・ア・ストーリー』@彩の国さいたま芸術劇場大稽古場。
個人的にはですね、週明けの『イデソロリサイタル』とで二大姐さん祭でしたわ。リッツィ作品のほうはベルリンで観てはいるのね。けどま今回は八嶋智人が日本語訳者的出るバージョンだから、もっと内容的に理解できるだろうし、苦手な最果て劇場だとしても稽古場ならきっとパフォーマンスとの距離は近かろう、ということで決意した次第です。結果的にはとても楽しめましたわ。
イケメンウォッチングは寡黙なもう一人のダンサー、またしても彼氏にしか視えない!マリオ・ザンブラノにドキワクで、シャープに直線的に腕なんぞどこかうつむき加減な表情で動かされたりすると、もうもうもう。
ライフヒストリーをまんまネタにしたトニーのツアーで回った世界各地でのエピソードもいちいち笑えましたがな。もちろんゲイネタ満載よ。1週間寝た挙げ句に相手から「やっぱり僕はゲイじゃないみたい」的に言われただの、別のボーイフレンドに“黄金水”かけられてピアスが化膿だの。巧みに構成された日本語台詞でしっかりわかれたし。あ、けどネタばかりじゃなくて踊り自体もすごいの、自由自在な流れるような質感でね、けどそれが、いい意味で“すごーいすごーい”に終わらないところがこの作品のよさなんじゃないかな。「僕は特別だっていわれてきたけど別にそうじゃないと分かった」みたいな言葉の投影から先の、“彼氏”との息のあったデュエットを、あくまで客席の勝手として誤読して視て、フムフムフムと満足だったのでした。
砂川秀樹さんツイッター経由で知った後情報だと、トニーは、まあみんな知ってるけどわよね的ゲイにとどまらず、ゲイ・アクティビストなんだって。なるほどなるほど、とそう思えば二度おいしい振り返りもできましたー。ゲイ・ライフ・ジャパンでも紹介されてたんですね! ところでブログを書く段になって見たベルリン公演の切り抜き類では名前がAnthonyでクレジットされてました。ま、どっちもありなのか。
与野本町→赤羽→鶴見→浜川崎。
椿昇展『ゴールド/ホワイト/ブラックーコンプレックス』@シンク・スポット・カワサキ。初乗車の鶴見線ですでに鉄&工業系萌え。体育館に横たわる原寸大?ミサイルは、バルーン製ゆえかどこかでれーんと弛緩した巨大ペニスに視え、暗がりのなか赤青白と明滅するその全景をスタンド席から茫然と眺めながら、リッツィ作品で出てきた“フィストファック”に極個人的体験が思い出され、それぞれの“神々しさ”を噛み締めたのでした。鉱山労働者を捉えたデカパネル写真作品も、坑道っぽい展示込みでぐっときました。こちらも足伸ばした甲斐ありだった。