ますだいっこうのあと@ベルリン

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オスターマイアー演出『Hamlet』

ikkomasuda2013-01-02

写真ギャラリーC/O Berlinへ。アメリカの写真家Joel Sternfeld回顧展:G8抗議行動に参加する人へのインタビュー付きスライドショー、キング牧師暗殺現場・ハロウィンに間違った家へ行き「フリーズ!」と言われて理解できなかった日本人ティーンが射殺された現場などの写真など、アメリカをどこか批判的に捉えた作品などに興味。『Deutsche Boese Photography Prize 2012』:川内倫子の、短いシークエンスが続く映像で、すき焼きを食べてる鍋や綿菓子機のアップなどにじんわりきた。元郵便局舎の建築空間は何度きても時間が積もった味わいあるなぁ。
『Wonderful Humboldt, Krokodil & Polke Die Olbricht Collection』@me Collectors Room Stiftung Olbricht。個人コレクションから、宗教を題材に/揶揄したコンテンポラリーアートとそもそもの宗教美術を並列してたり、かなりおもしろい&ヤバい。ストロボ点滅する真っ暗な部屋に骸骨が並ぶ最後の晩餐、そのテーブルに横たわるのは股間を毟り取られた人体、てなテレンス・コーのインスタレーションがあざといとはいえ一番印象的。エルムグリーン&ドラグセット、ラシャペル、チャップマンなどもあり。また博物学民族学解剖学動物学などが混ざり合ったコレクション室もどこかエロチックでした。
旧ユダヤ人女子学校CWC GalleryMichael Fuchs Galerieも覗く。フリードリヒの駅下アジアンインビス、REWEシティ、スターバックス・クーダム。
オスターマイアー演出『Hamlet』@シャウビューネ。当日券で人がごった返す人気度。どちらかといえば“クール”な世界を想定していたけど、計算づくでかなり狂ってて文句なしに素晴らしかったわ。ほくほくの帰り道に公演パンフレットを地下鉄で開いてたら話しかけられて、その若い女性はシャウビューネのドラマトゥルクだったという偶然も。
左右に空間を残して中央に四角くかさ上げた舞台。一面の土。それを覆うように長テーブルのある可動式舞台、金属がすだれ状に下がるプレセニアム的なこちらも可動式な鉄骨。この金属すだれは手持ち式カメラで中継される映像のスクリーンにもなるし、役者がぶら下がったりもできる。ハムレット以外の役者は♂4♀1のみ。台詞は「Sein oder Nichtsein, das ist hier die Frage生きるか死ぬか、それが問題だ」であっさり始まって、途中かなり構成・追加され、客席とのねじくれじみたやり取りなどもあり、「Der Rest ist Schweigen 後は沈黙」でざくっと暗転。冒頭は先王の葬儀なんだけど、庭用の散水ホースで雨を降らせ、リアル土をあっちへこっちへし棺桶を不器用に穴へ埋める無言進行が、滑稽やら不気味やらでまず瞠目。クローディアスがガートルードと結婚して王位を継ぐ宴席にそのままつながり、ガートルードが無駄に妖艶な踊りを披露してかと思いきや、そのままヅラをめくって、オフィーリアに変わるという演出にビッツラ。クローディアスも亡霊も同じ、ちょっとシチリアマフィアな関係者っぽいキャラのw、俳優、という具合。煎じ詰めればハムレットにとって自分自身以外は、誰が誰でもよくなってる的な内面からのある種狂気を前面に出した描き方。リアルに禿げかけた冴えない風体のハムレットの狂いっぷりったら、かなりのものでした。彼自信で女装して演じちゃう劇中劇、ペットボトルからの水をかぶって激しく痙攣しながらのオフィーリアの狂気姿、リアル土、食べ散らかすジャンクフード、ドリンク、叩き潰すドリンク缶、水、血糊、汚し汚されなどなどとっても刺激的具体的なシェイクスピアで客席は興奮しっぱなし。とはいえ狂いっぱなしでは決してなく、考えて考えあぐねる側面も描かれて、ドイツ語理解的な面で推測含むだけれど、大胆さに斬り込む作品に思えた。視姦メモw:レアティーズ役Stefan Stern