ますだいっこうのあと@ベルリン

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『Der Spieler』

ikkomasuda2012-12-22

Sバーン環状線の外側を走るトラムを3時から12時の方向に長々乗って、ヴェディングの次の滞在先へ。様子見と本や紙類を先行搬入で。降りだした雪で街がみるみる白くなってった。WGには台湾女子[ML]と、一時滞在中の元々の借り主♂[BJ]がいて、早速断片的コミュニケーション。明日ちゃんと“引越し”ます〉、にしても本格的なアルトバウに住まうのは初めてだわ。どこかゴシック風味。スターバックス・ハッケンシャーで独語自習、ケバブ食い。
『Der Spieler』@フォルクスビューネ。〈開演1時間前にドストエフスキーの原作あらすじをウィキ知恵するという泥縄w。『賭博者』でした〉。そんな予習の放蕩破滅筋な第一連想は危口さんの「悪魔のしるし」だったりしたのはまあ余談で。
フランク・カストロフ演出で休憩込み4時間半!主人公アレクセイを演じるAlexander Scheerが、美形の長身、足なんか細くて超長い眼福な美形にもかかわらず、日本の小劇場俳優をも彷彿させる飛んだり跳ねたり痙攣したり叫んだりの演技が、たまらなくパンキッシュにかっちょよく、2列め中央席で目がハート。最初貴公子然としていたのが、ルーレットにのめりこむあたりでほとんどロックンローラーに、髪まで直毛横分けから縮れっ毛にまで変えて登場したのにも釘付け。他の登場人物も例によってひと癖ふた癖み癖な連中ばかりで、でっかいカメだのクロコダイルだののゴム製かぶり物?もお出まし。敢えて材木打って最低限飾っただけな回り舞台、定番のビデオ中継と、カストロフ風味は満点。とはいえアジテーション的/抽象的な台詞が続いて置いてけぼりくった以前のブレヒト作品と比べると、理解できる会話自体は結講多かったし、かつ異化効果高めとはいえ会話が基本なので、心情的にはずいぶん乗っかれました。2幕目は、ルーレットしまくりぃの、その果てのグローバリズム的な台詞ありぃのあたりまでずっと中継映像で、資産家老婆がいきなりお色気衣装で賭博にのめり込むくだりなどは笑えたものの、温度上がらずにいたところへ、Alexander Scheerの椅子に立ったり床に転げったり早口でまくしたてる長台詞で、一気に集中、一気に過熱。とにかく惚れ惚れしました。全体の結論づけはやあまあ何というか金はさておき愛はどうよ的方面だったのかそれはそれで僕的には着地でき、長丁場も理解し切らないなりの充足感で埋まり、ほくほくして劇場を出た。
人けない公園の暗闇と冷気とオレンジの外灯に雪の白も加わったこの界隈の夜もきょう限り。