ますだいっこうのあと@ベルリン

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『MEAT』[ベルリン2014]

ikkomasuda2014-04-07

独語文書。翔子さんとフンボルト大学の日本語関係学部がある建物へ、彼女がそこの掲示板に語学パートナー募集を貼る用件に便乗して社会見学、日本語図書館もあった。ブラリ歩いてカフェBarcomi's
〈240時間[連続オープン]4時間入替パフォーマンス・インスタレーションSchaubühne『MEAT』ネカフェ奥に再現された各種空間[風俗あまりよろしくない系]を回遊。役なりきりその場その場で演じる/居る“出演者”の間でどんだけの擬似的関係が成立したか?な臨み方結果的に。にしても現在形猥雑性リプレゼンのその先そのココロは?〉
〈エロい男娼系クンとのセッションw記念写真も撮りたかったわん [Katjaとの2ショット]〉…後日だらだら加筆予定
0)チケットをリストバンドに交換、入場は3分おき6人ごと。
1)ネットカフェの受付を恐る恐る通りすぎると、いきなりマスクをした男性に手を引かれ奥へ誘導。
2)Kneip居酒屋:L字型スペースで、場末感ぷんぷん。十センチほど高くなったステージでカラオケ。とりあえず着席する。
3)隣に太めのノソノソしたキャラが座る。皿に盛られたソーセージを突き刺してブツブツ穴を開けてくれと言われる。モソモソ食べだす彼、しばし向かいの別客女性と会話。カラオケは続く。ふと好きな動物を問われ犬と答えるとシールブックから1枚バッグに貼ってくれる。きみは何が?と尋ねると彼は恐竜好き。
4)L字型店内の奥へ進んでみる。カウンターの裏側通路、ツインベッドルームをガラス越し覗き見経由、だらけたリビング・ソファのある通路を抜け、場末なファッションショップへ。大造り顔の姐ちゃん店員キャラと会話。…雇われてるだけよ、趣味悪い品揃えでしょ、夢はパリで自分のブティックを開くことよ、日本から来たの?日本のモードはステキね、ところでこれメキシコの銀のリングなのどう?あのペンダントもおすすめよ…点滅してみせる赤青赤青、Chiao!
5)ネイルサロンを抜けた奥にはバーが。短パンラメ系衣装男性のやる気なさげテクなさげ、言い訳程度なクネクネ動きのポールダンスを黒革深めソファで眺める。隣にきた女性に挨拶、踊り終わって“ダニエロ”とトーク、上階の個室に案内される。…10ユーロ。断るとじゃあいいわ、とロンドン・ウエストエンドで観たミュージカルの話を始める『フェーム』例のテーマ曲も歌いながら、でもブロードウェイにはまだ行ったことがない遠い、と、それから家族関係云々云々喋ってた、フェイスブックやってるから、とノートに書いてくれた。
6)個室が並ぶ安ホテルは、通路に“観客”がダマになってて、抜ける。ミニミニ・ショッピングセンター広場に面したアジアンインビスに。ゴールデン・ドラゴン金龍。メニューはチャーハンのみしかもベジで3ユーロの、カレー味でぶっちゃけ不味いのを、わざわざ箸でチンタラ、休みがてら。インビス男性アジア人と会話、中国と日本、押し黙った双子ちっくアジア兄妹or姉弟ノロノロ食器片付けするかたわらで。劇場トイレへ途中行ったら洗いにきてた。
7)迷路状をとにかくしらみつぶし、クナイペ奥の衣装室、というか試着&販売ブース、荒んだインスタレーションとしての”WC"とキッチン、薄汚れたベッドルームには先客、ヤク中っぽい若男子が寝そべるダークルーム、しかし“観客”には無関心、ネットでヤバイ系グロイ系映像を観てたり、片やデッキ一体型ブラウン管テレビではディズニーアニメが流れている、白雪姫。作品キーワードと接点だね、しばし座って存在を消す、その間仲間たちが出入りし、雑談するも特に何も起こらず。この頃になると入場から1時間半くらいを経過してて歩き見回る“観客”のほうが少ない体感。さらに奥へ進んで、茶色くアレンジはされていたけど明らかに飛び散った血の再現がされたバスルームの汚れ系インスタレーション。後で思えば解体現場だったわけね。
8)クナイペのさっきとは別側L字部分のテーブルに。カラオケは女装さんっぽいキャラのソウル系ナンバー。ドルガバの黒T着た男の子が、ああひっかけに来た感滲ませてる、目が合うとウインク。通路途中の小区画へ誘われる。薄い黒カーテンで雑に仕切られた、まるでヤリ部屋みたいな狭い空間。テレビでは訳わからんがどこか不穏な映像が映し出されてる。薄暗がりで、彼がTシャツの裾をまくしあげて挑発、乳首くらいまで、ハイハイ、…ファンタを一緒に飲もう、カウンターに移動してvon mirと奢る、2杯じゃなくてきみの分だけね。途中友達の、アルキー&ニコチーな子持ち腹キャラ紹介、ファンタ飲み干したら奥の個室は、といっても2方向にドアがあるんだけど、ってあたりもヤリ部屋っぽいね、のドア前で待っててといわれ粗末な一人ソファで待つ。その間にも仲間たちが出たり入ったり、巻かれた?と思う頃、中からノック。
9)ベッドの上で大小のテディベアに囲まれ抱き抱かれ、赤いビキニパンツ一丁でいる彼。ハイハイ、ベッドの遠い方の縁に座って、もう仕方ないからそこらにあった恐竜の絵本を順にめくって見せる。テディベアを股間にあてがってふざけてみせたり、手袋式人形クマで指をしゃぶってくれたり、ハイハイ、お腹が空いてる、とか言われても、もうねぇ、ich weiss nichtの繰り返し、いろんな意味で限界、向こうも諦めてジーンズを履いてgame over。部屋を先に去るとき振り返ると、彼はお面かぶってバイバイしてた、その絵がけっこう残ってる。
10)クナイペでは飽くことなくカラオケ爛れ感で引き続き、グループ“観客”のテーブルに紛れ込む。東南アジア出身っぽ若者がかわゆしと電波送るも行っちゃった。グラマラスなジョブレス女性とポツポツ会話。ネットのヌードショーで生活費稼いでるって。ステージで歌ってる曲、…コレ知ってる?知らなーい、けど聞いたことある、ミュージカルナンバーぽくない?その歌ってた金髪男子クンがチップせびりに来るなど。
11)クナイペ裏通路先の散らかった居間だか控え室だかのイスに、…座っていい?もちろん、からそこにいたKatjaとひとしきりお喋り。Konichwa、Ogenki desuka?教えて記念撮影。
12)その先の狭いソファ通路にさっきのドルガバくんがいた。通路を塞ぐように立ってるので、腰でも軽く触れたろかと一瞬思って、やめた。トイレへ。
13)“入口”の深夜売店的で、70セントのコーヒーを。ネイルサロン女子と店番女子がネット見てだらけてる横のイスに座って、カフェ淫。何も起こらない、食器洗い女が往来、中で何度か一緒になった“観客”女性が「Chaio!」と帰っていく。2杯目を飲んで立ち上がって、僕もTschuess!
a)ドルガバくんの名前は聞いたけど忘れちゃった。ネットで検索して似たキャラは見つかるも、横腹のバラ刺青がなかったから別の子だ。16歳って言ってたな。
b)ダニエロからのメッセージ。Sがすべて$だ!:DANKIE DIR IKKO KOMM MAL WIEDER ZURUECK UND MIT EIN KLEINEN TIPP TANZE ICH FUER DICH.... DU KANN$T MICH AUCH BLA$EN WENN DU MOECHTE$T $$$ DANIELLO LIKEA$TAR …また来てよ、チップくれれば、踊ってあげるし、その気があるならしゃぶらせるよ
c)ライブ映像も配信されていた。切り替えるたび10秒以上もCMを見せられるので、2、3視点みてやめる。
d)中国清朝皇帝が、一般庶民の生活を疑似体験するために、皇室庭園内にそれ用のいわば商店街が造られて、子供銀行みたいな架空のお金で買い物や飲食を楽しんだっていう、ガイドブックのくだりを想起した。
e)あるいは2008年ベルリンのテアタートレッフェンで観た“難民キャンプ訪問演劇”も強く。あれは架空度もうちょい高かったし、それぞれのバックストーリーを観客各自が織り合わせるみたいなこともできる構造だった。一方この『MEAT』は結局……。リアル/アンリアル曖昧な特区で、欲望の充足を、極卑近な経済的な意味で“売買”するための“芸術的”カラクリだったら、笑えるっていうか、まあ題名通りの《肉》だわな、そういうことかい?という淀みを徘徊できたことは、“通常”の舞台では体験できない、パフォーマンス・インスタレーションでしたわね、という形でなら受け取ることができる。
f)ドルガバくんの横っ腹に意外と脂肪ついてたのが、逆に生生しくってらしくって何とも、ギリギリまで目撃でいた前側はすっきりエロいんだけどね。ぶっちゃけあの時の“先”はあったのかななかったのかな、と考えてる時点ですごく見透かされてる気分。“難民キャンプ演劇”では性行為は明文で禁じられてたけど。
g)ドルガバくん、“ジョエル”からのメッセージ:you like my teddy bear again?
h)全体のモチーフ源になったのは、この猟奇事件。〈昨夜の『MEAT』脳内グジャグジャに、デニス・クーパーやらブルース・ラ・ブルースやらの作品も加わって、ウググゥとなっとる〉〈『MEAT』のThomas Bo Nilsson、難民キャンプ再現作品『Die Erscheinungen der Martha Rubin』などつくったグループSIGNAに2013年まで参加していたアーティストだった。またひとつ腑が落ちるw情報がーー〉。»If you don't like the reflection. Don't look in the mirro. I don't care.« 作品のいわばキャッチコピー、白雪姫のモチーフにもつながる呪詛。インスタレーションを困惑とともに徘徊した後、僕には結局は性的な欲望をえぐり出された後味の悪さがべっとり粘液状に残った。あるいはバラバラ殺人の肉の一部のように。

MEAT from matt lambert on Vimeo.