ますだいっこうのあと@ベルリン

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『シングルマン』

ikkomasuda2010-07-09

D社ガイド本ソウル校正。東京国際レズビアン&ゲイ映画祭2010。詳細発表が例年より遅くて気をもんだわよ。同時期にボランティで、ここ数年委員長の宮沢さんが初回登場して懐かしや。
『大変!息子がゲイなんて!』。題名から推測されるまんまの物語。すっとぼけたパパ、ハリケーン級のママはじめキャラはそれなりに笑えるのだけど、全体はぬるま湯コメディ。例えば悪趣味なほどドタバタするわけでもなし、イケメンが登場するわけでもなし。トラブルに直面してご無沙汰だった夫婦の営みがビリヤード台で突如!なシーンや、ヌードグラビア女がゲイくんを悩殺しても反応はあるわけやないわよな的想定シーンはあっても、主人公ゲイのベッドシーンは一切なくって、誰狙い映画?と問いただしたい気持ちになった。
シングルマン』。事故でゲイのパートナーを失った、もはや過去にしか生きられない大学教授の一日。あらゆるものが思い出につながり、でなければ通りすがりの男が断片でまとわりつく。トム・フォードのファッション感性から割り出された、ある意味アメリカが最もかっちょよかった60年代のファッション・デザイン・建築で隙間なく埋め尽くされた情景は、いちいちホモホモしい視線に満ちあふれている。あるいは色と音の主観化も露骨にクッキリで。教え子ケニーくんは、ポストトークでマーガレット様が指摘していたように、マッチョが一般化する前の時代ならではの細身感と、射抜く視線でババアも惚れ惚れ。等身大「じゃない」ゲイ世界に映像だからできる「見せ方」に一時耽溺。拍手喝采